真腔?偽腔?
血管の内膜より内側を真腔(true lumen)、内膜より外側を偽腔(false lumen)と呼びます。
カテ室ではこれらの英名を略して、真腔のことをトゥルー、偽腔のことをフォールスと呼ぶこともあるので英名もセットで覚えておきましょう。
「ちゃんとトゥルーにいってるね(=ガイドワイヤーが真腔を通っている)」とか
「フォールスっぽくないですか?(=ガイドワイヤーが偽腔に入っているかもしれない)」とか言われたら、
真腔や偽腔のことを議論しています。
真腔と偽腔の問題は、CTO病変へのPCIでしばしば問題になります。
CTO病変のPCIでは、一番最初にCAGを行い病変の状態を確認するのですが、病変部分は完全狭窄しているため造影できません。
そのため、造影できない部位の走行を、頭の中でイメージしながらガイドワイヤーを操作していくことになります。
このとき、ガイドワイヤーが真腔をちゃんと通っていれば問題ないのですが、偽腔を通してしまうと、後のバルーン拡張でパーフォレーションを起す可能性があります。
また、偽腔を作ったことがキッカケで解離を起す可能性もあり厄介です。
ガイドワイヤーが真腔を通っているかどうかは、IVUSで確認するのが最も確実です。
しかし、CTO病変ではガイドワイヤー通過直後にIVUSを使えないこともあり、
そうした時は、
・病変を通過させた後のガイドワイヤーの走行
・術者の手の感覚
・ガイドワイヤーを通過させた後のCAGでフローが若干回復する
・解離の兆候がない
など、いろいろな情報を考慮し総合的に判断していきます。